粗大メモ置き場

個人用,たまーに来訪者を意識する雑記メモ

微小回転に関する覚書:微小回転行列近似 VS クォータニオン

メモです。余裕のあるときに後でリファインします。

前提

座標系が角速度  \omega = (r,p,y)^\topで回転しているとする。

微小回転行列

本来三次元回転SO3は非可換であるが,微小回転を考えればこれを可換にすることができる。1

先程の角速度で微小回転行列というものが考えられており,  \omega \Delta t = (\alpha,\beta,\gamma)^\top とすれば以下のような回転行列で表せる。

f:id:ossyaritoori:20190719013841p:plain

これは以下に示すcross product表記を用いれば, R= \omega\Delta t_{ \times }+eyeと表すことができる。

f:id:ossyaritoori:20190719014129p:plain
wikipediaより引用:歪対称行列

クォータニオンによる角速度の積分

クォータニオン便利計算ノートによればクォータニオンによる積分は以下の通り。

f:id:ossyaritoori:20190719014911p:plain
一番下の式には1/2が入っていないと思う。見落としがなければ。

先程のcross productを用いて表すなら,

$$ \dot{q}=\frac{1}{2} \begin{pmatrix} 0 & -\omega^\top\\ \omega & \omega_{\times} \end{pmatrix} q $$

と書いたほうがスッキリするだろう。

MATLABで比較プログラム

P.I.corke先生のRobotics Tool boxを使用。課金できる方は自前でToolboxを買うと良い。 なお,2019年以降に東大に在籍している学生は無料で全ライセンス使えるのでぜひ活用するとよい。

petercorke.com

昔は全機能使えたと思ったのですが今入れたらいくつかの機能が削除されていたような???

問題設定①

最初の角度をオール0とする。同次変換行列を作っておく。

orig_eul = [0,0,0]'
orig_tr = rpy2tr(orig_eul')

omegaを適当に定め,10ms積分するとする。

omega = [0.1,0.2,0.3];
dt = 0.01;

微小回転行列の作成

cross productを計算するskewという関数を用いて簡単に作成可能。

R1=skew(omega*dt)+eye(3)
TR1 =r2t(R1)*orig_tr

TR1 =

    1.0000   -0.0030    0.0020         0
    0.0030    1.0000   -0.0010         0
   -0.0020    0.0010    1.0000         0
         0         0         0    1.0000

クォータニオンの計算

回転操作などをクォータニオンに変換すればよいが,新しく落としたToolbox:10.3.1はクォータニオンにまつわる変換がいくつか取り去られていた。 しょうがないので自分で書いた。

orig_q = eul2quat_self(orig_eul)
P2q = integratequat(orig_q,omega*dt)
TR2 = rpy2tr(quat2eul_self(P2q))

TR2 =

    1.0000   -0.0030    0.0020         0
    0.0030    1.0000   -0.0010         0
   -0.0020    0.0010    1.0000         0
         0         0         0    1.0000

問題設定②

最初の角度を適当に決める。ロールピッチヨーのオイラー角を適当に決める。うん。後でやります。

orig_eul = rand(3,1)

orig_eul =

    0.9134
    0.6324
    0.0975
TR1 =

    0.8014    0.4054    0.4398         0
    0.0816    0.6543   -0.7518         0
   -0.5926    0.6384    0.4913         0
         0         0         0    1.0000
TR2 =

    0.8014    0.4054    0.4398         0
    0.0816    0.6543   -0.7518         0
   -0.5926    0.6384    0.4913         0
         0         0         0    1.0000

結果がほぼ同じになるのは違和感がある。前者は1次近似で後者は変換部を除けば理想的な計算結果になると思っていたので。 誤差は1e-5のオーダ。

 TR1-TR2
 =

   1.0e-05 *

    0.7539   -0.0609    0.1604         0
    0.1528    0.0783   -0.5804         0
   -0.0849    0.0234    0.3760         0
         0         0         0         0

自前関数

こちらの記述を大部分引用。

参考文献

あとで♡

MATLAB symbolic mathを使って煩雑な手計算を自動化する

座標変換などで手計算をあまりしたくないのでsymsをうまく使ってこれを回避する方法をメモします。

Image Jacobianの導出

カメラの座標系から見て位置(X,Y,Z)にある物体を考えます。焦点距離fとすると,以下の関係が成り立ちます[1]。

f:id:ossyaritoori:20190712145950p:plain
カメラの撮像幾何[1]

カメラが6軸の速度・加速度を持つときに画像内の点がどのように動くのか,その関係性を表す行列を導出します。

f:id:ossyaritoori:20190712150807p:plain
何故かうさぎをアクチュエータに使うPeter先生。かわいい。

時間変化する変数を定義

時間tに関する関数として位置の各変数を定義できます。[2]の橋本先生の論文を例にとって見てみましょう。

f:id:ossyaritoori:20190712151433p:plain
ピンホールカメラモデルによる撮像の式(ただしf=1として省略)

syms t X(t) Y(t) Z(t) 
image_p = [X(t); Y(t)]/Z(t)

計算結果:

image_p =
 
 (X(t))/Z(t)
 (Y(t))/Z(t)

時間で偏微分

tで偏微分します。

f:id:ossyaritoori:20190712151618p:plain
商の微分

diff_p = diff(image_p,t)

こうなります。

diff_p =
 
 diff(X(t), t)/Z(t) - (X(t)*diff(Z(t), t))/Z(t)^2
 diff(Y(t), t)/Z(t) - (Y(t)*diff(Z(t), t))/Z(t)^2

特定の数式の代入による式整理

先程の式のXdotなどをvxに変換していくために以下の数式を代入します。

f:id:ossyaritoori:20190712151743p:plain
pdot=-v+w×p から計算

subs(対象式, 代入対象, 代入する式)という構文を用いて代入。 diff(X(t), t)という式を消していきます。

syms vx vy vz wx wy wz

before={diff(X(t), t),diff(Y(t), t),diff(Z(t), t)};
after = { -vx-wy*Z(t)+wz*Y(t), -vy-wz*X(t)+wx*Z(t), -vz-wx*Y(t)+wy*X(t)};

diff_p_XYZ = subs(diff_p,before,after)

結果,以下のようになります。

 (X(t)*(vz - wy*X(t) + wx*Y(t)))/Z(t)^2 - (vx - wz*Y(t) + wy*Z(t))/Z(t)
 (Y(t)*(vz - wy*X(t) + wx*Y(t)))/Z(t)^2 - (vy + wz*X(t) - wx*Z(t))/Z(t)

小手先の代入テク

ただ,元の式展開では,[x,y]=[X/Z,Y/Z] の関係を用いてX,Yの変数を消去しています。これもsubsで計算可能です。

syms x y

before={X(t), Y(t)};
after = { x*Z(t), y*Z(t) };

diff_p_xy = subs(diff_p_XYZ ,before,after)
 (x*(vz - wy*x*Z(t) + wx*y*Z(t)))/Z(t) - (vx + wy*Z(t) - wz*y*Z(t))/Z(t)
 (y*(vz - wy*x*Z(t) + wx*y*Z(t)))/Z(t) - (vy - wx*Z(t) + wz*x*Z(t))/Z(t)

上では明らかにZで約分できるにもかかわらず約分されていないのが気になります。 小手先テクですがsimplify関数を適用することで整理が可能です。

diff_p_xy = simplify(subs(diff_p_XYZ ,before,after))
 
diff_p_xy =
 
wz*y - vx/Z(t) - wy - wy*x^2 + (vz*x)/Z(t) + wx*x*y
 wx - vy/Z(t) - wz*x + wx*y^2 + (vz*y)/Z(t) - wy*x*y

f:id:ossyaritoori:20190712153325p:plain
展開結果

多項式から 行列形式への変形

最終的には画像内の点の動きd[u,v]/dtとカメラの動きの対応を以下のように行列形式で扱います。その時の変換行列が画像ヤコビ行列というやつです。

f:id:ossyaritoori:20190712153526p:plain
画像ヤコビ行列

先程求めたのは多項式ですので,equationToMatrixという関数を使います。

% 便宜上の数式変換なのでぶっちゃけ右辺は何でも良い
eqns = [diff_p_xy == [0;0]];

% 抜き出す変数
vars = [vx vy vz wx wy wz];

% 係数行列(ヤコビ行列の抽出)
J = equationsToMatrix(eqns,vars)

結果がこちら。計算ミスなく簡単に導出できますね。

J =
 
[ -1/Z(t),       0, x/Z(t),     x*y, - x^2 - 1,  y]
[       0, -1/Z(t), y/Z(t), y^2 + 1,      -x*y, -x]

まとめ

このように式をこねくり回すのもMATLABに任せれば良いと言いたいところですが,結局計算ミスの代わりにプログラムのデバッグが必要になります。 特に添字などの間違いは見逃しやすいのでうまいこと定義した数式を見やすくするなどしてデバッグのコストを下げたいところです。

symbolicを直接latexに変換するといったプラグインも開発されてたりするそうなのでうまいこと活用して楽ができればいいですね。

prettyコマンドの活用

数式を少し見やすくするためのコマンドが一応用意されています。

これ本当に見やすいかな???

>> pretty(diff_p)
/  d              d      \
| -- X(t)   X(t) -- Z(t) |
| dt             dt      |
| ------- - ------------ |
|   Z(t)            2    |
|               Z(t)     |
|                        |
|  d              d      |
| -- Y(t)   Y(t) -- Z(t) |
| dt             dt      |
| ------- - ------------ |
|   Z(t)            2    |
\               Z(t)     /

参考文献

[1] P.I.Corke先生のYotube解説より抜粋 url

[2] 橋本先生の「Visual Servo - IV - Feature Based Visualservo(ビジュアルサーボ:特徴ベースビジュアルサーボ)」より抜粋

2019年版Overleaf v2 日本語Tex環境テンプレ

環境概要

以前OverleafとSharelatexの紹介などをしたが,いつの間にか統合されてOverleaf v2になっているようだ。 オンライン環境がある場合余分にソフトを起動しなくて済むため比較的使用感は良かった(TexLive2017あたりが入っている?)。

  • 日本語環境構築
  • Github連携

日本語環境の構築

最初にやることは, - Menuを開いてデフォルトのTexコンパイラを”Latex”へと変更

具体的な画面の状況や操作などはここの記事にある。

ファイル構造

文章は最初から作成してあるmain.texを編集していく。

最低限のものを詰め込むと以下のようなファイル構成になると思う。

.
├ fig/ (図とか)
├ latexmk(コンパイル設定)
├ main.tex (本文)
├ preamble.tex (プリアンブル)

ディレクトリ構造のトの字ってどうやって出すんだ?

latexmkの作成

latemxmkでコンパイルの方法を設定する。

$latex = 'platex';
$bibtex = 'pbibtex';
$dvipdf = 'dvipdfmx %O -o %D %S';
$makeindex = 'mendex %O -o %D %S';
$pdf_mode = 3; 

preamble.texの作成

これはお好みで良い。自分用のものを以下に記す。

\usepackage[dvipdfmx]{color,graphicx}
\usepackage{ascmac}
\usepackage{amsmath,amssymb}
\usepackage{epsf}
\usepackage{float}

\newcommand{\bm}[1]{\mbox{\boldmath $#1$}}
\newcommand{\eq}[1]{Eq.(\ref{eq:#1})}
\newcommand{\zu}[1]{図\ref{fig:#1}}
\newcommand{\shiki}[1]{(\ref{eq:#1})}
\newcommand{\fig}[1]{Fig.\ \ref{fig:#1}}
\newcommand{\grp}[1]{Fig.\ \ref{grp:#1}}
\newcommand{\tab}[1]{Table\ \ref{tab:#1}}
\newcommand{\defeq}{:=}

\newcommand{\mr}[1]{\mathrm{#1}}%rm体
\newcommand{\ml}[1]{\mathcal{#1}}%frac体
\newcommand{\bmat}[1]{\begin{bmatrix} #1 \end{bmatrix}}%行列簡略化
\newcommand{\pmat}[1]{\begin{pmatrix} #1 \end{pmatrix}}%行列簡略化
\newcommand{\mat}[1]{\left( \begin{matrix} #1 \end{matrix} \right)}%行列簡略化
\newcommand{\expo}[1]{ \mathrm{e}^{#1} }

本文の設定

使う論文のテンプレ次第でいかようにもなるが,先程のpreambleをinputで読み込ませるとスマートな見た目になる。 余白の調整はgeometryパッケージを使うと良い。

\documentclass[10pt,a4paper,oneside,twocolumn,fleqn,dvipdfmx]{jsarticle}
\usepackage[utf8]{inputenc}
\input{preamble.tex}

\usepackage{geometry}
\geometry{left=25mm,right=25mm,top=25mm,bottom=25mm}

%本文
\begin{document}

\twocolumn[
    \begin{flushright} 
        右上枠
    \end{flushright}
    \centering{
        \LARGE{タイトル}
    }
    \section*{
        \centering{Abstract}
    }
    \raggedright{
    Write abstract here.
    }
    \vspace{2ex}
]

\section{Background}

%参考文献
\small
\bibliographystyle{IEEEtran}
\bibliography{ref} %ref.bibを準備
\normalsize

\end{document}

機能活用

キーボードショートカット

コピペなどに関しては基本的なDOS用のコマンドがいくつか使える。 他にはコメントアウトのトグルであるCtrl+/などが有用である。

以下の画像にまとめてある。Macではない機能もあるらしいが使ったことはないしまぁ問題ないかも。

https://writelatex.s3.amazonaws.com/published_ver/8700.jpeg?X-Amz-Expires=14400&X-Amz-Date=20190709T235828Z&X-Amz-Algorithm=AWS4-HMAC-SHA256&X-Amz-Credential=AKIAJG3IX4TWNSPTZRXA/20190709/us-east-1/s3/aws4_request&X-Amz-SignedHeaders=host&X-Amz-Signature=be401d93f84e0146e8e8f5a5771c048a8117b469cb57c4b0f7515a66379df6c4

Github等連携

GithubDropbox等と連携することで管理がしやすくなる。 月額なんと15ドル!ちょっと高いのでやらない()

その他便利環境に関してはこの記事によくまとまっている。

ASUS Zenbook Pro UX550VD の分解清掃を試みた話

結論から申し上げるとネジの箇所を把握しきれず完全分解には至りませんでした。 失敗記事なのですがそもそも本機体の分解に関する記事がネット上にないので情報共有のために残しておくことにします。

何がおきたのか

15ヶ月該当商品を使っていましたが,最近ファンの音が大きく感じるようになりました。

ぼちぼち掃除が必要だなと感じたので分解清掃を試してみます。

該当商品について

2017年に発売開始されたZenbookのフラグシップ機です。

特徴として,大きく重い(15.6インチ 2.4kg)代わりに,Geforce GTX 1050を積んでRAMが16Gがある本格仕様になっております。 一年前に買った時の感想などが載っていますね。

ossyaritoori.hatenablog.com

以下はCorei5版ですが今はかなり安く売られているようです。

1年間使ってみて

良かった点として

  • 性能で困ることはあまりなかった
  • 電池のもちも結構良い

欠点として - とにかく重い - トラックパッドが少し使いにくい(当人の慣れかも)

稀にマウス操作がカクつくなどの現象が置きましたが,ハード由来かソフト由来か不明なので不問とします。

必要なもの

トルクスネジという星型のネジを使っているので普通のドライバーでは開けません。 六角が入らない! 形の違う「トルクス」というねじ | Cyclist

型としては

  • T5ドライバー

を探しましょう。

私は以下のものを買いました。

分解工程

裏面のネジを取る

SSD換装動画ですが以下の動画が参考になります。

www.youtube.com

この際,おすすめなのが両面テープやガムテープを用いてネジの元の位置を保存しておくことです。 本機体は全てのネジが同じ形式っぽかったので問題なかったですが,別のPCだとネジの長さが違ったりするのでとても重要な作業です。

裏蓋の取り外し(追記更新)

機種依存ですが今回チャレンジした感じ的にはゴム足の下にもネジがあるように感じました。がこれは気のせいでした。 www.zoa.co.jp

ここからは裏面を剥がすのですがこれは力押しでやると曲がったりすることがあるので,樹脂製の薄いピックやプラスチックカードなどを隙間に入れて徐々に開けるのが良いです。

f:id:ossyaritoori:20200927025328j:plain

うまく開けばこんな感じに中身が見れます。 この中を清掃します。やり方などについてはまた後ほど。

足立先生の「カルマンフィルタの基礎」の誤植について~MATLABを用いた代数リカッチ方程式の求解~

誤植はどの本にもあることです。 なお,手元にあるのは第4版です。

カルマンフィルタの基礎

カルマンフィルタの基礎

線形カルマンフィルタの終端値とリカッチ方程式

線形カルマンフィルタの事前推定の共分散をPとします。 十分時間が経って定常値となる時のカルマンゲインは


K = B^\top A^{-1} =  P C^\top (C PC^\top + R)^{-1}

この時,終端値において次の式が成り立ちます。


P = A(I-KC)PA^\top + Q

もっと長く書くとこう。


P = A(I-P C^\top (C PC^\top + R)C)^{-1} PA^\top + Q

展開すると


APA^\top -A - AP C^\top (C PC^\top + R)^{-1}CPA^\top + Q=0

となり,これは代数リッカチ方程式(DARE)となります。

MATLABで解けます。

jp.mathworks.com

MATLABでリカッチ方程式を解く解法

Referenceによると,

f:id:ossyaritoori:20190522013718p:plain

だそうです。

従って,

[P,L,G]=dare(A',C',Q,R)

と実行することで解を得られます。

誤植箇所

p149 演習6-2の解答

解答ではPの最終値が1+√3としていますが,

[P,L,G]=dare(1',1',4,1)

を計算すると,2(1+√2)=4.8前後が正解の値になるはずです。 なお,スカラなので手計算でリカッチ方程式を解いても同様の値になります。

ドヤ顔で書いてますが間違ってたらすみません。

jupyter notebookのセル出力を横にしたら結構良かった

2019年5月現在,jupyter 4.4.0 にて動作確認。

notebookのセル出力を横にしたい

notebookはhtmlで編集できるらしいので以下のようにセル出力を横にできます。 幅も広くとれて使い勝手良さそう。

f:id:ossyaritoori:20190505230104p:plain
図がでかいとちょっと無駄感もあるかもしれない…

設定方法

ここの議論を参考にしました。

以下のコードをセルで実行するだけ。

%%html
<style>
#notebook-container {
    width: 90%;
    background-color: #EEE
}

.code_cell {
   flex-direction: row !important;
}

.code_cell .output_wrapper {
    width: 50%;
    background-color: #FFF
}

.code_cell .input {
    width: 50%;
    background-color: #FFF
}
</style>

用途によって左右の比を変えてもいいかと。

なお,Githubのページでは普段どおりに写ります。

f:id:ossyaritoori:20190506205801p:plain
Githubでは普通にうつる

カルマンフィルタのゲイン導出メモと共分散行列の遷移

注:これは個人用メモです。

はじめに

もう一度いいますがこれは個人用メモです。

わかりやすい説明などは以下のブログ様などを参考にしたほうが良いです。

hamachannel.hatenablog.com

差別点は

  • 多変量の場合を考慮している点
  • 変分ではなく平方完成で導出を行っている点

でしょうか。自分用に覚書がほしかった箇所をメモっています。

本記事の流れ

以下の流れで行きます。

  • オブザーバ(濾波型)の推定式からk+1の時の誤差共分散を導出
  • 誤差共分散行列を平方完成して最適ゲイン=カルマンゲインを導出
  • その時の共分散の更新則を導出

推定に依る誤差共分散の式

  • 予測ステップは以下の通りとします。uは入力,vはシステムノイズです。


\hat{x}_{k|k-1} = A \hat{x}_{k-1} + B u_{k-1}+ v_{k-1}

  • 修正ステップは以下の様に書けます。ここでFはフィードバックゲインです。


\hat{x}_{k} = \hat{x}_{k|k-1} + F(y_k-\hat{y}_k)


また,観測方程式から \hat{y}_{k} = C\hat{x}_{k|k-1} ですのでこれを代入して


\hat{x}_{k} = (I-FC) \hat{x}_{k|k-1} + F(y_k)


したがって,誤差共分散は各々の要素が独立だとして以下のように書けます。


V(\hat{x}_{k}) = V((I-FC)\hat{x}_{k|k-1}) + V(Fy_{k})


そろそろ面倒なのでここから\hat{x}_{k|k-1}=xとして書いてしまいます。

  •  V(AX) = AV(X)A^\top
  • V(y) = W の関係を用いて書き下すと,


V(\hat{x}_{k}) = (I-FC)V(x)(I-FC)^\top + FV(y)F^\top \\
= FCV(x)C^\top F^\top-FCV(x)-V(x)C^\top F^\top +V(x) +F W F^\top

となります。

誤差共分散を最小化するゲインの導出

後は,変分法でもいいのですが今回は平方完成を用います。

簡単のため, C V(x)C^\top +W=A,そして CV(x)=Bと置きます。


FCV(x)C^\top F^\top-FCV(x)-V(x)C^\top F^\top +V(x) +F W F^\top \\
= FAF^\top - FB - B^\top F^\top + V(x)


先ほどの式をFに関する2次系にすると


(F-B^\top A^{-1})A(F-B^\top A^{-1})^\top + V(x) - B^\top A^{-1}B

となります。


したがってこれを最小化するゲインFは自明に


F = B^\top A^{-1} =  P C^\top (C PC^\top + W)

となるわけです。(公式と見比べるためにP=V(x)としました。)


またこの時,最小値は


V(x) - B^\top A^{-1}B = P - FCP = (I-FC)P

となり,公式と同様の値が導出できます。

最適ゲインでないゲインを用いた場合の共分散

最適でないゲインF'を用いた際の誤差共分散は


(I-F’C)P

という簡単な式ではなく,


(I-F'C)P(I-F'C)^\top + F'WF'^\top

をきちんと計算しなくてはいけません。

カルマンフィルタの公式だけを眺めていて一度間違った式を使っていたことがあります。

疑問

ゲインFに何らかの制約があった時に,以下の式


(F-B^\top A^{-1})A(F-B^\top A^{-1})^\top + V(x) - B^\top A^{-1}B

を最小化(ノルムを?)するにはどうすればいいんでしょう?高校数学的な解法は線形代数の場合はどの様に計算するんでしょうね???


追記:LMIの目的関数にしてYalmipで解いてみましたがソルバがないと言われてしまいました。目的関数は非線形になるんですが,凸っぽいような…?

参考文献

今回の導出は足立先生の本にのっています。ベイズ統計などは確率ロボティクスなどを読むとよいです。 ベイズの定理に従うと勝手に最尤値を計算してしまうので今回のような導出にはなりませんが。

カルマンフィルタの基礎

カルマンフィルタの基礎

確率ロボティクス (ROBOT books)

確率ロボティクス (ROBOT books)

線形代数は以下の本がいいそうで…

統計のための行列代数 上

統計のための行列代数 上

統計のための行列代数 下

統計のための行列代数 下